依存症とは

依存症とは

“特定の何かに心を奪われ、「やめたくても、やめられない」状態になること”

依存症の種類

【物質への依存】:主にアルコール・薬物・精神的に依存する物質が原因で依存症状を引き起こしている状態。依存性のある物質を複数回繰り返し接種・使用・服用することで、以前と同じ量の物質では満足ができなくなり、より多くの依存物を求めるようになります。

【プロセスへの依存】:特定の行為、過程等の行動や考え方に必要以上に熱中し、のめりこむ症状の状態。ギャンブルなどが該当します。

これらの依存症で共通しているのは、「繰り返す」「もっと強い刺激を求める」などの考えや行動を自制できず、やめようとしてもやめることができない、頭の中から離れないという特徴があります。

依存症の問題

依存症の問題は、大きく3つに分けられます。

1.自分・周囲に対する不都合

依存症になる行為(飲酒や薬物)を行い続けることにより、以下のような状態に陥ります。

・睡眠・食事が不規則・不摂生になり健康状態が悪化。
・自分の依存行為に関して嘘をつき、家族との関係を悪化させる。
・仕事/学校などを休みがちになり、他のことについての継続力がなくなる。
・借金やお金を工面するための手段を選ばなくなり、犯罪行為に手を出すことに繋がる。

こういった状態になると、依存症を患っている本人はもちろん、周囲の人も金銭・身体的・精神的な被害を被り、特に親族や家族にとっての負担は非常に大きいものとなってしまいます。

 

2.本人の身体・精神状態に悪影響を及ぼす

依存症を発症した場合、人間の脳は徐々に構造が変化し、幸福を求めることに対するブレーキが効かなくなることでエスカレートした行動に出るようになっていきます。

通常、無意識に幸福度の高い選択を取るようにできている人間の脳は、依存症の発症とその悪化と共に幸福度の高い選択として依存先の物質・行為を最優先に選択するよう構造が変化していきます。そのため、一般的に幸福度が高いとされている睡眠や食事などは二の次として依存先への選択を最優先として行動するため、結果として薬物やアルコールを多量にとることになり、健康状態に悪影響を及ぼすことになるのです。

 

3.周囲への悪影響

依存症を発症すると、依存物や行動に対する量や頻度は常に増加し続けます。依存状態の進行は依存先にあるものをより多く継続して接種・使用したいと思ってしまう上、依存症患者にとっては最優先事項のため、その他周囲の人たちや将来的な自分への影響を考えることがありません。

そのため依存症者は、

・自身の依存症に対する問題の否認と事態の過小評価
・家庭内の問題(現実)を見ず、また家族からの注意等に対し攻撃的になり暴力をふるう
・借金やお金を工面するための手段を選ばなくなり、犯罪行為に手を出す

上記のような行動に走り、自分だけでなく周囲にも被害を与えます。

また、依存症は本人が病気であるという自覚がないもしくは認めない、加えて家族も病気であるという知識が乏しいまま、世間体等を気にして医者に出さない(ばれたら恥ずかしいから 等)ということも。そのため誰にも相談できず、依存症者とその家族で問題を片付けようとしてしまうこともあるため、共倒れしてしまうことあるのです。

依存症者・依存症の治療のことを諦めてはいけませんが、それでも依存症者の周囲の人達が「依存症者を支えなければ」という考え方を持っていると、依存症者の嘘や資金の工面等によってただただ精神的・体力的に疲弊するだけです。

依存症はれっきとした病気だということをしっかりと理解して、自分たちだけで抱えるのではなく周りの医療機関などにすぐ相談しましょう。

 

依存症をやめられない理由

それは、脳の構造の変化によって【コントロール障害】が起こっているためです。

例えば、依存物となるような物質を接種すると、人体の脳内にはドーパミンと言われる快楽物質が多量に放出されます。このドーパミンが脳内に放出されると中枢神経が興奮し、快感を得る喜びへと繋がります。この感覚は強く脳に刻まれ、報酬(ごほうび)として脳が認識することで、その報酬を得るための回路が脳内に出来上がります。また、こういった「興奮」「喜び」は、ギャンブル等で得られるスリルや興奮といった行動でも得ることができるため、同じように報酬を強く求める脳の回路が新しく形成され、その欲求が強くなっていき、結果的に変化した脳の構造によって

このように依存症をやめることのできない理由としては、依存先の物質/行為によってすでに脳の仕組み・機能・構造…意思決定等の根幹にかかわる部分が影響を受け変化し、そのもとで思考・行動が行われるため、自分の意思で依存症をやめることができないことはもちろん、周囲の人たちの注意では依存症を治すことは絶対にできないのです。

依存症とは本人の意思が弱いからなどといった理由で発症するのではなく、脳の構造が変化したことによって起こってしまう

依存症がエスカレートする理由

脳の仕業

先にもお伝えしている通り、依存症は徐々に脳の構造が変化することで起こる、欲求をコントロールできなくなる病気です。一度脳の構造が変わると、基本的に自分の意思で依存症状を克服することはできません。脳が快感(報酬/ご褒美)を求めるための行動を何よりも優先してしまうようになるため、特定行為を自分の意思、周りの注意だけでやめる・減らすということができなくなるのです。

依存先への欲求に対するブレーキをかけることができなくなった脳の指令によって、欲求はいつまでもエスカレートしていくことになるのです。

 

依存症治療について

依存症の治療では、「止め続けること」が大切だとされています。脳の構造が変わったことにより歯止めが効かなくなった依存症状の状態では、例えばギャンブルなどをしていない時間にもギャンブルがしたいという欲求を鎮めることはできません。そのため、その時間を何か別のことに使い依存行為を行わない時間を作る等の時間に関しての行動を考えなければなりません。

依存症治療には、個別で精神療法を行う・認知行動療法的な考え方に基づいた集団精神療法、自助グループへの参加等があります。またアルコール依存症に対しては抗酒薬、飲酒量低減薬などを使用します。

こういった行動療法や薬による依存症への対処療法はあるものの、いずれの場合においても絶対に治療ができるものではありません。これらはあくまで、依存症者やその家族だけでは治すことのできない依存症に対し、あくまで「サポート」を行うためのものになります。この時この瞬間に依存症状が弱くなったとしても、あくまで一時的。依存症が再発することはいつでも起こりえます。

もちろん、再発しても大丈夫です。依存症は些細なきっかけで再発する可能性の高い症状ではあるため、何度でも発症に向けた治療を行う必要のあるのです。依存症に限りませんが、諦めることこそが一番してはいけないこと。治療を続け、依存行為をやめ続ける行動を続けてさえいれば、依存症は自然と治っていきます。

一人では治せない依存症、自分や家族だけで抱え込むのではなく、必ず周りの医療機関や信用できる人達へ相談し、少しずつ治す努力を続けていきましょう。

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